エルコラーノの半球形腕輪は、ポンペイの監督局のカタログ番号3647のオリジナル遺物に触発された、18K金メッキの925銀製の洗練されたブレスレットで、現在はナポリ考古学博物館に所蔵されています。

1980年から1999年にかけて行われたエルコラーノの古代海岸での発掘調査では、都市の住民に属する多くの宝飾品が発見され、その中にはヴェスヴィオ火山の噴火による悲劇的な逃亡の際に亡くなった所有者のそばで見つかったものもあります。

これらの貴重な遺物の中でも、金の宝飾品が際立っており、様々な形のネックレスやイヤリングが多く、しばしば真珠で飾られ、精巧に作られた腕輪は当時の中流階級の社会的地位を示しています。同様の宝飾品の例は、ポンペイのビキニのヴィーナスの家でも発見されています。

この半球形の腕輪は当時の高度な職人技を反映しており、優雅さと熟練の技を融合させたデザインは今なお魅了し続けています。

特徴

• 素材: 925シルバー、18Kゴールドメッキ 
• 重さ: 約66.5g
• サイズ: 19.5 x 3.5 cm
• イタリア製

詳細

この半球状のリンクが付いた腕輪の多くの例は、ポンペイとエルコラーノで発見されています。例えば、ポンペイのビキニのヴィーナスの家（ナポリ国立考古学博物館）にあります。また、マリエモン（所蔵番号 B.357）など世界の他の博物館にも所蔵されています。マリエモンの標本の半球は、その内側の凹面に結晶が含まれています。ナポリ国立考古学博物館のテレーザ・ジョーヴェ博士が依頼した黒い物質の分析結果によると、それはミツロウであることが判明しました。プリニウス・セクンドゥスは、『博物誌』第28巻の複数の箇所で、動物や人間の臓器や物質を入れて護符を作るための空洞のある様々な腕輪の存在を言及していますが、ミツロウを材料として明示的に言及してはいません。マリエモンのもの以外の他のコピーも結晶がないようです（完全に閉じられないことをヴェロニク・ラミーも認めています）。このミツロウは単に宝飾品の製作過程から来ている可能性も否定できません（その存在がこれと関係ない可能性も同様にあります）：「しかし、各半球を構成する2つの金箔の要素（これは打ち出し技術です）は、硬化したミツロウの溶融によって結合され、組み立てを容易にしたと想像することは可能です。はんだ付けの際にミツロウは溶けて、この目的のために設けられた穴から流れ出ます。」このミツロウは現時点では謎のままです。半球に戻ると、「この種の空洞要素は、定期的にではあるが体系的ではなく、特に硫黄のような様々な不活性物質で満たされていたことも注目されます。これは明らかに、金箔の軽い構造を強化し、衝撃やその他の事故に対する耐性を与えるためでした。また、製造コストを増やさずに重量を増やす目的もありました。この宝飾品を身に着ける流行は、エルコラーノの「勝利したアウレーテ奏者の祝典」と題された「ギリシャの巨匠」のフレスコ画（ナポリ国立考古学博物館所蔵のフレスコ画番号9021）で証明されています。前景には、蔦の冠をかぶった座っている女性が左手に文字のある巻物（おそらく彼女の歌の言葉だけ）を持ち、右側から隣にいる2人の奏者にリズムを与えているように見えます。彼女は前腕にそのような腕輪を、肘より上にもう一つ（衣服の端で隠れている）を着けています。

フィリップ・デュルベック（彼の記事の抜粋）

参考文献

• "輝き。エルコラーノの装飾品における贅沢 ", フランチェスコ・シラーノ編集。
•  "ポンペイの女性の美。化粧品と装飾品 ", アントニオ・ダンブロージオ編集。
• "ナポリ国立博物館のコレクション ", ペディチーニ写真アーカイブによる編集。